2021.08.19

ホーチミンの不妊治療について

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.13《体外受精:移植当日》

 

前回は移植周期の受診について投稿しました。

今回は移植当日の流れについて書きます。

移植

受精卵を迎えるためのベッドの役割である、子宮内膜を移植周期で整えました。

子宮内膜が10mm以上まで厚くなったら胚移植していきます。

胚移植には大きく2パターンあります。

①新鮮胚移植:採卵周期に胚移植。

短期間の治療が可能ですが、子宮内膜のコントロールが調整しにくいデメリットもあります。

②凍結胚移植:採卵で得られた胚を凍結保存。

移植周期に合わせて子宮内膜やホルモンの状態を整えた上で移植できます。

凍結胚移植には分割胚移植(ET:Embryo Transfer)胚盤胞移植(BT:Blastocyst Transfer)があります。

凍結・融解にはコストがかかり、融解の時点で胚の変性のリスクがあります。

方法は担当医や培養士と相談しながら方法を選択します。

移植当日の流れ

当日の大まかな流れは以下になります。

採卵時も日帰り手術でしたが、胚移植も問題なければ日帰りでOKです。

  1. 病院到着後、血圧測定
  2. 書類確認
  3. 会計
  4. 術衣へ更衣
  5. リカバリールームへ移動
  6. 手背ルートキープ
  7. オペルームへ移動
  8. 移植
  9. リカバリールームへ移動
  10. 帰宅

病院到着後から約3時間で胚移植を完了できました。

もちろん、体調や病棟の混み具合によって所要時間は変動します。

移植日の詳細

実際の移植当日の流れを具体的に書いていきます。

(大体の時間です。正確ではありません。)

場所はHanh Phuc本院(Binh Duong)です。

こちらの本院では、採卵・胚移植の他、出産や婦人科、小児科入院にも対応しているようです。

8:00 病院到着

到着する頃に、WellBeの通訳さんから事前に

「到着しました。○○で待っています。」というようにメッセージが来ました。

事前にメッセージが来ると本当に安心できます。

 

8:10 書類確認、会計

同意書パスポートなどを確認します。

IVFやICSI、凍結保存をする際は同意書を記入します。

その中には、IVFなどの成功率やリスクなど説明が書かれています。

また、夫婦・医師のサインを書く欄があり、必要な場合は通訳者もサインをします。

凍結保存の同意書には、何かあった場合の凍結胚をどうするか(例えば破棄するか)を選択する欄もありました。

そして今回は移植前にお会計をしました。

 

8:30 術衣へ更衣

採卵時と移植時は同じリカバリールーム、同じオペルームで実施していくため、更衣室兼トイレも同じ部屋です。

ここからは家族は入室不可だったため、夫は待合室で待機です。

通訳さんは更衣室まで入室して、それ以降は通訳さんも入室不可でした。(採卵時と同様)

 

8:50 手背へルートキープ

術衣へ更衣後、リカバリールームへ移動します。

スタッフから「ここのベッドに横になって」と言われるので、ベッド上で待機します。

ここから見える外の風景はこんな感じ ↓

 

ルートキープの準備をした看護師?助産師?がベッドの横に来て、ルートキープを実施します。

「No pain」と言われて挿入されます。

やはり手背なのでやや痛いですよね。

でも、そこまで思ったよりも痛さは感じませんでした。上手なスタッフでした。

ルートキープ後は以下の薬剤が投与されました。

・Tractocile(atosiban)

子宮収縮抑制剤(オキシトシン・バソプレシン阻害薬)

胚移植後の子宮収縮が着床を阻害する可能性があると言われています。

その予防のための投与。

シリンジポンプにて慎重投与が必要な薬剤です ↓

 

9:25 オペルームへ移動

まず経腹エコーで膀胱をチェックします。(尿量の確認)

この胚移植時の”尿溜め”は移植しやすくするために行います。

私の場合は尿量が多すぎたため、トイレで15秒間排尿するように言われました。

 

9:30 胚培養士さんとお話し

移植する胚の確認をします。

解凍後のグレードに変化がないことも確認しました。

その後生殖の担当医が入室し、

クスコ診、経腹エコーで移植部位を確認しました。

そして移植です。

移植時は麻酔は使用しません。

クスコ診のみ違和感はありましたが、大きな痛みもなく胚移植は無事に終了しました。

 

9:45 リカバリールームへ帰室

診察台から用意されていたベッドへ横移動してベッドにて帰室しました。

 

11:00 帰宅

移植後もベッド上安静するようにスタッフから言われました。

つまりトイレも我慢することになります。

施設や医師によって考え方にばらつきはあるかとは思いますが、

移植後の長時間の安静はそこまで必要ないとの考え方もあります。

私は長時間我慢できなかったので、途中でスタッフを呼んでトイレへ行きました。

その後自分の服へ着替えて帰宅という流れになります。

帰り際に担当して下さった看護スタッフから

エコー写真にて移植された胚を確認し、

「This is your baby!」

と言われてこの上ない喜びを感じました。

今後着床しないかもしれないし、

胎嚢が無事に確認できるかも分からないし、

何も保証されていない段階でしたが、

私の子宮内に受精卵が存在していることを実感できただけで嬉しかったです。

心温まる瞬間でした。

費用

気になる費用はこちらになります。

Embryo Transfer :5,200,000vnd

Embryo Thawing:6,000,000vnd

Tractocile(Atosiban):約2,470,000vnd

Atosiban infusion before embryo transfer:600,000vnd

Assisted hatching:3,000,000vnd

以前支払ったデポジット分では不足したので、

不足分10,740,000vnd を移植日に支払いました。

 

Assisted Hatching(AHA)とは

費用の中にあったAHAとは…

成長した胚盤胞は透明体を破って孵化(Hatching)し、子宮内膜に着床して妊娠が成立します。

この着床をしやすくするために予め透明体に切れ目を入れることを言います。

移植を終えて…

ここで妊娠はまだ成立したわけではないので、まだまだ関門はありますが

無事にこの日を迎えられてひと段落ついたなという感じでした。

採卵周期に使用した注射のキットはまだ使用するかもしれないので、

返却はせずにこの時はまだ自宅に保管してありました。

移植後の生活はいつも通り過ごしました。

友人からお守りも頂いて、あとは祈るのみです。

※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。

※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。
あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。

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