2020.10.21

不動産の売買事情

ベトナムの不動産投資の実務。購入・運用・管理・売却の流れ。

2015年7月、不動産事業法・住宅法が一部改正され、外国人による不動産購入の規制が緩和されました。
これによって非居住者の外国人も含め正規に不動産購入が行えるようになり、不動産価格上昇を牽引する1つの要因となっています。
本記事では、外国人が不動産投資を行う上での一連の流れ(購入、保有中の運用、管理、売却)をご紹介します。

外国人・外国法人による不動産購入について

購入主体により、規制が異なります。
1.ベトナムへ入国可能
な外国人(個人)
2.ベトナム国内にある外資系企業(ベトナム法人)
3.ベトナム国外にある外国企業(国外の法人)
それぞれで住宅の売買可否や運用手法の可否が変わります。
ベトナム法人で住宅の購入を検討される場合は、自己利用(従業員の社宅として利用など)は可能ですが、賃貸物件として貸し出し、家賃収入を売上として計上する事はできません。

外国人・外国法人に対する一部制限について、更に詳しくご説明します。

1.住宅所有数制限
各建物の総戸数の30%が外国人・外国組織が所有できる上限です。

2.所有期間制限
外国人の場合は、50年間の期間付きですが、更に50年の延長が可能です。
現時点で、50年の保有を考える投資家は少なく、所有期間についてはあまり投資材料として考慮しない投資家が多いです。

3.転売
外国人は、外国人またはベトナム人への売却が可能です。
しかし、外国人はベトナム人から中古物件を購入する事はできません。
また、外国人から外国人への転売については、デベロッパーによって一部制限が設けられています。

例えばホーチミン市2区にある Masteri Thao Dien というコンドミニアムは外国人から外国人への転売は現在認められていません。
尚、権利証(ピンクブック)発行前の転売もデベロッパーによって制限されるケースもあるので注意が必要です。
ホーチミン市2区の Gateway や、ホーチミン市1区の Vinhomes Golden River は外国人から外国人への転売が行われています。 

プレビルド(新築)物件の購入ステップ

◆抽選会上の写真は、2018年12月14日開催のSon Kim Landによる The Metropole Thu Thiem の第一期抽選会の様子です。
当時、外国人の所有権(SPA)販売は販売価格から+5%という金額でした。
ホーチミンでは外国人所有権にプレミアムを付けて高く販売する傾向にあり、転売価格にも大きく影響を与えています。
(転売時でも外国人のSPAが高く取引される傾向にあります。)

◆購入の流れ
ベトナムでは、建物の工事進捗に合わせ、購入金額を何度かに分けて支払う事が一般的です。
デベロッパーによって多少異なりますが、下記がローカルディベロッパーの一般的な支払いスケジュールです。

取り交わし書類は覚書(Deposit Agreement)と売買契約書(SPA)等です。(ベトナム語&英語)

2015-2018年度はデベロッパー側が一括支払いによるディスカウントを案内するケースも多かったです。
2019年度以降、ディベロッパーへの当局の監視体制が強くなり、現在は支払いスケジュールの規制について順守する傾向があります。
2020年10月時点で、ピンクブック(権利証)の発行がされた物件は少なく、購入金額の5%を支払っていない購入者が多いです。

購入時の主な諸経費について

購入時及び引渡し後の諸経費については、弊社では事前に想定収支表を作成の上で提出する為、想定収支表からコストが大幅に振れたことはこれまでありません。
但し、賃料収入の利回りについては想定よりも下がってきています。
一つは供給量の増加、もう一つはコロナによる外国人の減少が主な要因です。
特に民泊運営が流行っていたコンドミニアムなどは顕著にその影響を受けています。

引渡しから賃貸募集までのステップについて

◆ディベロッパーからの引き渡し

設備表を基に機器や仕上げの確認を行います。

一般的には指摘事項が多数あるので、指摘事項の修繕確認後に正式な引渡し手続きを行います。
弊社では代理で行うケースが大半となっており、その際には通常、公的(認証済み)な委任状(ベトナム語)の作成が必要です。

◆内装工事と家具家電の搬入

賃貸で運用する為には一般的には家具・家電の設置が必要です。
コンドミニアム内に競合物件が多数ある場合には、差別化を図る工夫を行います。
内装費が高ければ良いということではなく、エリア・ターゲット・賃貸料設定に見合った内装を行うことが重要です。

◆募集開始
内装の方向性が決まった段階で募集活動を開始します。

賃貸料は原則貸主口座にVNDで送金を行う為、遅くともこの時点ではローカル銀行のVND口座を保有していなければなりません。(外資系のローカル銀行の口座開設を推奨しています。)

◆賃貸運用中の主な諸経費について賃借人からは通常2か月の保証金(敷金)を預かります。
日本と異なり貸主優位の商慣習となっていることから、滞納の懸念はなく、仮に滞納が発生したとしても保証金内で退去手続きが可能です。
弊社管理の住居で滞納による未回収は0%で、恐らく他の管理会社も同様です。(滞納リスク無し)

不動産の売却手続きについて


引渡前の権利転売も可能です。

但し、デベロッパーによって手続きが多少異なるので都度確認が必要になります。
引渡後の転売については一般的には下記ステップで進みます。
決済はVNDの為、ローカルの銀行口座が必要です。
日本から公的(認証済み)な委任状(ベトナム語)を作成することで、代理で決済手続きを行うことは可能です。(決済の為に渡航不要。)

◆不動産の売却手続きの注意事項

ベトナムの不動産は住宅法により夫婦の共有財産として規定されています。
その為、単独名義で購入をしていたとしても、既婚者の場合、売却時には配偶者の署名(承諾)が必要です。
委任状作成の際にも両名の署名が必要で、仮に親子の共有名義で購入を行っているケースなどでは、それぞれの配偶者の署名が必要となり、非常に煩雑な手続きになります。
その為、基本的に弊社では単独名義での購入を推奨しています。

◆売却時の主な必要書類例

単身者
・パスポート(本人)
・独身証明書
・戸籍謄本・住民票

既婚者
・パスポート(本人)
・パスポート(配偶者)
・戸籍謄本・住民票

日本の公的書類はベトナム大使館/領事館で認証手続きを行い、その後ベトナム語に翻訳しベトナムの公証役場に提出しなければなりません。

◆売却時の主な諸経費について

申込から決済・引渡しまで、来越することなく全て代理で手続きを行うことは可能です(弊社のケースでは大半が代理で対応をしている)。
権利証発行前の転売については、デベロッパーによってステップが異なったり、転売できない時期などがある為、注意が必要です。
権利証発行後の転売については弊社ではまだ実績がありません(権利証がまだ発行されていないため)。

転売益及び賃貸料の国外送金について

ベトナムから国外送金については、賃貸料は、売買契約書・賃貸契約書・納税証明書などをエビデンスとして国外送金可能です。

転売益についても同様で、転売時の関連書類・納税証明書などを基に国外送金可能です。
但しどちらも原則は窓口対応となっていた為、今後遠隔で行えるかが鍵となります。
また弊社ではローカル銀行の国外送金についてはこれまで実績がありません。

不動産運用実例(ホーチミン)

Vinhomes Central Park の1ベッドルームを2015年に購入したお客様は、4年間で48,130 USDの利益を出す事ができました。
年間の利回りは、15.5%です。
2020年現在、ベトナムの定期預金の利率が6%~7%程度です。

画像出典 週刊Vetter ベトナム不動産ガイド