2021.07.17

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.10《体外受精:採卵周期》

 2回の人工授精が残念な結果だったため、体外受精にトライすることを決断しました。今回の投稿では体外受精に至るまでの前段階の「採卵周期」の時期について書いていきます。 採卵周期体外受精の大まかな流れは前回の投稿でも書いたように大まかには以下の段階を踏みます。 排卵誘発 採卵術 受精 胚培養 移植まずは採卵をするための準備として、排卵誘発をします。その段階が採卵周期です。なるべくたくさんの卵が育つようにホルモン量を調整していきます。ホルモン量の調整方法には、大きく3つの方法があります。 自然周期法 低刺激法(クロミッド法/フェマーラ法) 高刺激法(ロング法/ショート法/セトロタイド法)私は高刺激法にて排卵誘発をしました。方法は医師の方針や自分達の希望よって決定します。 採卵周期の受診採卵当日まで医師の指示で以下の生理日に受診をしました。そこでは卵胞の大きさや数、子宮内膜の厚さを確認します。場合によっては処方もあります。・生理2日目:処方あり(確かこの日に麻酔科診察)        採卵時に麻酔を使用するため、麻酔科医の問診があります。・生理6日目  :採血(エストラジオール/LH/凝固系)・処方あり・生理8日目  :処方あり・生理12日目:採血あり(LH/プロゲステロン値)・生理13日目:採卵当日採卵前は卵巣にたくさんの卵が育っているので、歩くたびにチクチク痛かったのを思い出します。お腹が張ってこの時期は身体がしんどかったです。ウォーキングしたかったのですが、さすがにできませんでした。 処方内容処方された薬剤はこれらになります。・Puregon (FSH : 卵胞成長を促す。) 生理2日目目から10日目まで自己注射このPuregonは専用のペン型の器械で投与します。それがこちら ↓中身はこんな感じ ↓専用の針を先端に差し込み、指示された投与量をカチカチとセットして皮下注射します。  これは糖尿病のインスリン注射と類似していますね。専用のペン型の器械は返却する必要があります。私は無事に妊娠成立した時に返却しました。・Orgalutran(早期排卵防止) 生理6日目から11日目まで自己注射Orgalutranはシリンジ内の空気を抜いて投与するだけなのでPuregonとは違って特に事前の準備は不要ですね。とは言え、大変なことに変わりはありません…中身はこんな感じ ↓・Dephereline(自然排卵を抑えながら卵子の発育を調整する。) 生理11日目の指定時間に自己注射これが一番厄介かも。医療職ではない人にとっては至難の業だと思います。アンプルカットは慣れていないと怪我をする可能性もあるので、注意が必要です。太い針は薬剤をMIXする時に使用して、細い針は投与する際に使用します。1区のHanh Phuc G階の薬局で処方を受け取り、6階のFertilityへ戻り、スタッフから投与方法は説明を受けられるので、必要であれば方法を動画撮影されるといいかも。またはYouTubeなどで方法は上がっているので事前に確認しておくといいですね。心構えが必要ですからね。 費用そして、気になる費用はこちら。ザーッといきますよー。・麻酔科診察: 350,000vnd・採血: 1,380,000vnd・採血(採卵前): 650,000vnd・Puregon: 約17,860,000vnd(3 cartridge)・Orgalutran: 約2,480,000vnd(3 syringe)・Diphereline: 約470,000vnd合計:23,190,000 VND(約11万円)追加処方・Puregon: 約5,950,000vnd(1 cartridge)×2・Orgalutran: 2,480,000vnd(3 syringe)合計:8,430,000 VND(約4万円) 事前に採卵や胚培養のための費用も支払います ↓・Monitor ovarian  stimulation for IVF/ICSI: 6,900,000vnd・OPU procedure or Aspiration of functional ovarian cyst: 9,300,000vnd・IVF/ICSI OPU+ embryo check + culture embryos: 12,800,000vnd合計:29,000,000 VND(約14万円) 体外受精までステップアップするとかなりの金額になることが分かりますね。こうまとめて見ると改めて高額な金額に驚きます…最近日本もやっと不妊治療の助成制度が検討されてきていますが、本当に経済的にダメージが大きいですね。子育て支援も大事ですが、子供を望んでいる人に向けた支援にも手厚いサポートが欲しいですよね。 ※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。「ホーチミンで不妊治療」ブログ一覧はここをクリック

2021.07.12

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.9《治療方針の相談》

 2回目の人工授精での結果を前回投稿しました。今回は今後のことについて投稿していきたいと思います。 今後の治療1回目、2回目と人工授精にトライしてみましたが残念な結果だったため、今後の治療方針を主治医と相談することにしました。私たち夫婦の不妊原因から、以前から以下のように方針を決めていました。・ 2回人工授精をトライ・ それでも難しい場合は体外受精にステップアップ私的にはおそらく人工授精では難しいかな…と内心思っていましたが、段階をつけて治療していきたかった。人工授精を実施してみて、難しければ体外受精にしたいと思っていたので、治療方針は主治医と同じ意見でした。そして、人工授精でも希望を持ちたかった…。そして、海外で採卵時の全身麻酔は不安と恐怖しかないのでできれば避けたい…という思いがありました。 生理再開後の受診人工授精2回目後の生理が始まり、早速Hanh Phucへ予約をして、今後の治療方針を主治医と再確認しました。治療方針に私たち夫婦も主治医も意見の変更はなく、体外受精へステップアップすることに決めました。とてつもなく大きな決断でした。不安しかなかったです。 人生には選択をして、決断をする事が何度もあると思いますが間違いなく、勇気のいる決断でした。体外受精までステップアップするなら、日本でやりたいと何度思ったことか…ただ、日本で治療するとなると現実問題難しいのでベトナムで治療することに腹を括りました。 体外受精体外受精は簡単にいうと、卵子と精子を体外で受精させ、その受精卵を子宮内に戻す方法。その受精方法には大きく2通りあります。 体外受精 In Vitro Fertilization: IVF    顕微受精 Intracytoplasmic Sperm Injection: ICSI簡単にいうと、IVFはシャーレ内で卵子に精子を振りかける方法。ICSIは卵子に直接精子を注入する方法。どの方法で実施していくかは主治医や培養士さんと相談の上決定します。 体外受精の大まかな流れどんな流れで体外受精を行うのか、大まかには以下の流れなります。 排卵誘発 採卵術 受精 胚培養 移植大まかには5つの段階を踏みますが、その一つ一つが本当に大変。身体も精神も経済面も大きなダメージです。身体の面では女性側に大きな負担となるので、男性側は見て見ぬふりをせずに「一緒に治療をしていく」という心構えが大事です!実体験上、夫にイライラすることが多かったので…では、次回からホーチミンでの体外受精について投稿していきます。  ※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。 「ホーチミンで不妊治療」ブログ一覧はここをクリック

2021.07.06

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.8《2回目の人工授精結果》

1回目の人工授精は残念な結果になり、2回目の人工授精を実施した、という経緯まで投稿してきました。さて…2回目の人工授精はどうなるかな。経過を今回は投稿していきます。 2回目の人工授精後の生活特にこれといった事はなく、いつも通り過ごしてきました。私は日本にいる時は、夜勤もありオンコールもあり、いつも気付けば妊産婦さんや産後ママさんのケアをしていました。緊急呼び出しのため、オンコールで夜間に出勤することもあり黙って自宅にいるだけ、というよりは何か活動していたいタイプ。なので、この人工授精後の期間も何もない日でもお散歩したり、ジムに行ったりしていました。もちろん、人間なので何もやりたくない日もありますけどね。そんな生活をいつも通り送っていました。 あとは妊娠前から必要とされる葉酸をサプリメントで毎日摂取したり、朝と就寝前はストレッチやラジオ体操をしたり…とにかく余計なストレスは溜めないように努力しました。こういう結果待ちの期間って生理予定日が近づけば近づく程、ドキドキや焦りが出てくるものでストレスが増します。しかし、それは「心から子供を望んでいるんだな」と自分の感情に気づく大切な心の反応だと気が付きました。なので、その自分の感情を受け入れることにしました。 2回目の人工授精結果生理予定日が近づいてきました。トイレに行くたびに出血の有無を意識的に確認してしまいます。ある朝、トイレに行き気配を感じました。出血がありました。生理が来てしまいました…今回もダメだったか…1回目の時もそうでしたが、生理が来たことを夫に報告するのは、なんとなく、ひと呼吸必要でした。夫に報告するたびに・また妊娠できなかった悲しさや悔しさ・今後の治療への不安・これ以上ベトナムで治療することへの不安・赤ちゃんができないかもしれない不安・重なる治療費いろんな感情が爆発して涙が出てしまいます。そしてまた自分の感情を受け入れて、今後の方向性を整理していくことにしました。 次回の受診目安生殖の担当医からは・生理が来たら受診予約・生理が来ずに経過していたら自分で妊娠検査薬を使用してみてもOKというように言われています。私の場合は生理が再開したので、その日にWellBeへ連絡をして受診予約をしました。 情報が限られているベトナムの不妊治療…情報がないって本当に不安でしかない。それもストレスの要因の一つでした。そんな中、治療を継続していくのにはかなりの覚悟が入りましたが夫や主治医とよくよく話し合っていくこと、自分の経験や知識をもとにアドバイスをくれた信頼できる助産師さんが身近にいてくれたからこそ、乗り越えられたのかなと思います。 ※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。「ホーチミンで不妊治療」ブログ一覧はここをクリック

2021.06.27

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.7《2回目の人工授精》

 1回目の人工授精の結果は残念な結果となり、生殖の医師と相談し、2回目の人工授精を実施することに決めました。今回は2回目の人工授精について投稿します。人工授精2回目当日当日の流れは1回目の人工授精を経験していたので、気が楽でした。やはり、自分の頭の中に情報があると気持ちに余裕があるな、と実感しました。少しでも余裕を持って行動できた方がいいですよね。ホーチミンの不妊治療の情報は本当に少なくて、治療当時は手探りで頑張っていたのを思い出します…このブログがホーチミンで不妊治療をしようとしている方への情報の足しになれば嬉しいです。 …では本題に戻りますがいつものように、1区のHanh Phucにある6階の「Fertility」へと向かいます。もう何度も通っているので、慣れたものです。(慣れたくない…早くFertilityを卒業したい…)          そしていつものように6階へ到着。人工授精の流れは以前投稿したように、下のような流れです。 午前中、夫が病院を受診して精子を提出 午後、妻が受診 血圧測定 人工授精前にお会計 人工授精 約30分くらい横になって安静 処方を受け取る 帰宅詳細に関しては以前のブログ【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.6《人工授精後の受診》をご覧下さい。いざ、2回目の人工授精!1回目の人工授精の時と同様、血圧測定後にお会計をして処置室へと向かいます。ちなみに処置室へはWellBeの通訳さんはそのままずっと居る事はなく、人工授精の場面では処置室から退室します。まずは、午前中に夫が採精した精子の状態を用紙にて確認し、サインします。そしてショーツを脱ぎ、こちらの診察台に横になります。特に処置の際に着替える服などはありません。↑処置台 人工授精の体勢が整ったら、主治医が登場して早速2回目の人工授精を実施。クスコと呼ばれる器械を当て、カテーテルという管で精子を子宮内へ注入していきます。5分程度で人工授精自体は終了し、医師は処置室退室時に1回目の人工授精同様「Good Luck!」と言ってくれました。その後30分程度安静にします。ちなみにこの安静時間ですが、日本でも施設や医師の意見によりばらつきがありますね。処方人工授精前日、病院に排卵コントロールのための hCG 5000IU の筋肉注射をするために病院へ行ったのですが、その時に人工授精後に使用する薬も処方してもらえました。そのため人工授精当日の処方はありませんでした。(人工授精2回目当日までの経過は以前のブログ参照)【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.6《人工授精後の受診》その処方は黄体補充としてのCyclogest suppository 400mg(Progesterone:プロゲステロン)これを人工授精後から毎晩1tab 腟に挿入します。ホルモンの作用ちなみにエストロゲンやらプロゲステロンやら大切なホルモンがありますが、どのように作用するかは以下の通りです。 ・エストロゲンestorogen:卵胞ホルモン子宮内膜を増殖させる作用。つまり、受精卵を迎えるベッドの役割の子宮内膜を整える。 ・プロゲステロンprogesterone:黄体ホルモンエストロゲンの作用で厚くなった子宮内膜に受精卵が着床するように整える作用。着床後も分泌が続き、妊娠維持をサポートする大切なホルモン。このようなホルモンの作用は治療をしていく上での大切な知識なので、覚えておくと便利です。ちなみに子宮内膜は剥離すると、生理として出てきます。費用そして気になる費用はこちら。 Sperm preparation: 750,000vnd IUI(AIH): 2,100,000vnd Cyclogest suppository:約512,000vnd さて…無事に2回目の人工授精も完了し、自分の身体から結果が来るのを待ちます。1回目の人工授精を経験しているので、比較的穏やかに過ごせました。結果がどうであれ、なんとなく前に進もうとしている自分がいて良かったな、と今になって思います。 ※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。 「ホーチミンで不妊治療」ブログ一覧はここをクリック

2021.06.19

【助産師のブログ】ホーチミンで不妊治療 ver.6《人工授精後の受診》

 人工授精を試みて、2週間ちょっとして生理が来てました。その後の経過を投稿します。 医師と今後の方針の相談生殖の担当医から「生理が来たら受診して下さい」と言われていたので休む暇もなく、次回の受診の予約をしました。受診当日、通院先の1区のHanh Phuc の6階にある生殖外来へ行きWellBeの通訳さんと合流します。そしていつも通りスタッフから「Ms.〇〇」と呼ばれて血圧測定をします。その後、生殖の担当医と今後の方針の相談。私たち夫婦の不妊の原因を見て、最初に担当医と大まかなステップを話し合っており、治療計画はそのステップに沿って進むことを医師と再確認しました。 私たちの治療計画私たち夫婦と生殖の医師とは以下のように話し合っています。・2回の人工授精を実施しましょう。・それでも難しい場合は体外受精を検討しましょう。日本にいる不妊治療経験のある身近な助産師や看護師とも相談しながらこの方針に決めました。その中には私たち夫婦と同じ不妊の原因を抱えた方もいたので心強かったです。その時点での治療計画はこんな感じでしたが、もちろんこの治療で難しい場合は「再度、治療計画を練り直す」事も頭の隅に置きながら治療に当たりました。言ってしまえば、不妊治療は先の見えないトンネルのようなもの。長いトンネルになることもあれば、急に光が見えてくることもあります。治療を通じて感じるのは、「高額な治療費」「有限の時間」「心身の負担」があるので受け身で治療してゴール設定のない曖昧な治療をしていても、ただ立ち止まっているだけだなと実感しました。とにかく心穏やかに健康でいること。そして、夫婦で同じ方向を向くこと。これらは治療が長引けば長引くだけ、大事なことでありながら難しくもあると思います。1回目の人工授精では残念な結果だったので、2回目の人工授精へと気持ちを切り替えていきました。 今回の受診の流れと処方内容以前の投稿にも書きましたが、決断をしてから突然人工授精するのではなく、人工授精を行う日の数週間前から、子宮内の状態を整えたり、卵胞成長をコントロールしながら行います。・1回目の受診:生理開始後の受診retorozole(Femara:FSH):卵胞成長を促す内服薬の処方を受ける。・2回目の受診:子宮内膜・卵胞チェックProgynova(estoradiol):子宮内膜増殖を促す内服薬の処方を受ける。・3回目の受診:子宮内膜・卵胞チェック・4回目の受診:hCG5000IU 筋肉注射で排卵の調整筋肉注射のため、病院にて医療スタッフが臀部(お尻)に注射します。いつもどんなスタッフがいるのか私は名札を見ているのですが、「Midwife」(助産師)と書いていました。このスタッフは採血の時も痛くないので、安心して身を委ねられました。もちろん、この時の筋肉注射もそこまで痛くなくてホッとしました。 これら4回の受診で身体の調子を整えて、2回目の人工授精当日を迎えました。 それぞれの費用そして気になる費用はこちら。 受診料:420,000vnd 経腟エコー:250,000vnd retrozole(Femara):約940,000vnd Progynova(estoradiol):50,000vnd hCG:約212,000vnd 今回は私の身体の状況を見つつ、1回目の人工授精時とは少しだけ薬の種類を変更しながら2回目の人工授精へと向かいました。さて、2回目の人工授精…どうなることやら。もちろん希望は持ちつつ、過度な期待はしないように過ごしました。次回はその後の経過を投稿します。 ※2020年の情報になりますので、最新情報とは異なります。ご了承下さい。※治療内容はそれぞれの状態や医師の治療方針によって異なりますので、様々な方法があります。あくまでも私自身の使用した薬剤や方法についての記載になりますので、ご了承下さい。 「ホーチミンで不妊治療」ブログ一覧はここをクリック